「見守りセンサーや介護記録ソフトを導入したい」
「でも、まとまった設備投資の予算を捻出するのは難しい……」
深刻な人手不足を感じつつも、費用の壁に阻まれてICT化に踏み切れない介護施設は少なくありません。
そうした現場の負担を軽減し、業務効率化を後押しするために国が用意しているのが「介護テクノロジー導入支援事業(補助金)」です。
この記事では、制度を活用してスムーズに導入できるよう、以下のポイントを分かりやすく解説します。
- 対象となる機器・ソフトウェア
- 補助率と補助上限額の目安
- 申請から交付までの全体の流れ
- 自治体(都道府県)ごとの違いと注意点
「自施設でいくら補助が受けられるのか」「何から準備すればいいのか」が具体的にイメージできるようになりますので、ぜひ予算確保の参考にしてください。
【結論】2026年度は「介護のICT補助金」が過去最大級。記録ソフトなら最大250万円
先に要点だけまとめます。
- 介護テクノロジー導入支援事業は、見守りセンサー・介護記録ソフト・移乗支援機器などの導入費用を、国と都道府県が補助してくれる制度です
- 2026年度(令和8年度)は補正予算220億円が追加され、過去最大級の規模になっています(出典: 厚生労働省・令和7年度補正予算)
- 補助率は条件により 1/2 〜 最大4/5。介護記録ソフトは職員数に応じて 上限100万〜250万円
- 窓口は都道府県で、多くの自治体が2026年5月〜8月に順次公募開始。締切が早い県もあるため、検討中なら今すぐ自県の状況確認をおすすめします
それでは、制度の全体像から順に見ていきましょう。
介護テクノロジー導入支援事業とは?

介護現場の人手不足対策として、介護ロボットやICT機器の導入費用を補助する国の事業です。以前は「ICT導入支援事業」「介護ロボット導入支援事業」と呼ばれていたものが統合・拡充され、現在の名称になりました。
- 実施主体: 都道府県(地域医療介護総合確保基金を財源に、国が2/3を負担)
- 対象: 介護保険サービスを提供する事業所(施設系・通所系・訪問系いずれも対象になり得ます。細かい対象範囲は都道府県の実施要綱で異なります)
- 2026年度の財源: 基金に加えて令和7年度補正予算220億円が追加投入されています
対象になる機器・ソフトの例
| 分野 | 機器の例 |
|---|---|
| 見守り・コミュニケーション | 見守りセンサー、見守りカメラ、インカム |
| 介護業務支援 | 介護記録ソフト、勤怠・シフト管理システム |
| 移乗支援 | 装着型・非装着型の移乗補助機器 |
| 排泄支援 | 排泄予測センサー |
| 入浴支援 | 入浴補助機器 |
| 移動支援 | 歩行支援機器 |
(出典: 厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業」実施要綱・補助金ポータル解説)
補助率と上限額【2026年度】

補助率は「どこまで取り組むか」で3段階に分かれます。
| 補助率 | 主な条件 |
|---|---|
| 4/5 | 導入定着支援に加え、協働化・大規模化等による職場環境改善事業を併せて実施する場合 |
| 3/4 | 要件を満たす場合(例: 介護記録ソフトはケアプランデータ連携システムを令和8年度内に利用開始、入所・居住系は安全確保委員会の設置 など) |
| 1/2 | 上記要件を満たさない基本パターン |
上限額の目安は次のとおりです。
| 対象 | 補助上限 |
|---|---|
| 介護記録ソフト | 職員数1〜10人: 100万円 〜 31人以上: 250万円 |
| 移乗支援・入浴支援機器 | 1台 100万円 |
| その他の機器 | 1台 30万円 |
| パッケージ型導入(複数機器+定着支援) | 400万〜1,000万円 |
※金額・要件は都道府県によって異なる場合があります。必ず自県の実施要綱を確認してください。
活用するメリット3つ
1. 自己負担を大きく抑えて「試せる」
たとえば200万円の介護記録ソフト一式を補助率3/4で導入できた場合、自己負担は50万円です。「良さそうだけど高くて踏み切れない」が理由で見送ってきた機器を、リスクを抑えて導入するチャンスになります。
2. 記録ソフトの上限が大幅拡充された年に当たる
2026年度は介護記録ソフトの補助上限が職員数に応じて100万〜250万円へ拡充されました(従来より大幅増)。紙の記録からの切り替え、旧式ソフトからの乗り換えを検討していた施設には追い風です。
3. 「導入して終わり」にならない設計になっている
2026年度の制度は、研修・定着支援・効果報告までを含む設計です。裏を返せば、補助金をきっかけに「使いこなすところまで」伴走してもらえる構造になっており、機器が倉庫の肥やしになる失敗を減らせます。
注意点2つ
1. 交付決定前に買ったものは対象外
原則として、交付決定の前に購入・契約した機器は補助対象になりません。「先に買っておいて後から申請」はできないので、申請スケジュールから逆算して動く必要があります。
2. 都道府県ごとに要綱・締切がバラバラ
同じ国の事業でも、公募期間・対象・上限は都道府県ごとに違います。2026年度は5月〜8月に順次公募が始まっており、先着順や早期締切の県もあります。「まだ大丈夫」と思っていたら締め切られていた、が最も多い失敗パターンです。
申請の流れ(7ステップ)

- 自県の公募状況・実施要綱を確認する
- 事前手続き(自治体によっては導入計画の事前提出など)
- 見積取得・書類準備(導入計画書・見積書・要件の確認)
- 申請
- 交付決定(←ここより前に購入しない)
- 機器・ソフトの導入
- 実績報告・効果報告
よくある質問
Q. 小規模なデイサービスでも使えますか?
A. 対象になり得ます。介護記録ソフトの上限は職員数1〜10人の区分(100万円)が用意されており、小規模事業所も想定された制度設計です。ただし対象事業所の範囲は都道府県の要綱によるので、自県の窓口で確認してください。
Q. リースやサブスク型のソフトも対象になりますか?
A. 都道府県によって扱いが異なります。初期費用のみ対象、月額利用料は対象外とする自治体が多い傾向がありますが、要綱の確認が必要です。
Q. 何を導入するかまだ決まっていません。先に申請だけできますか?
A. できません。申請には具体的な機器・ソフトの見積と導入計画が必要です。逆に言えば、「何を入れるか」を今から選定し始めるのが申請への第一歩です。
Q. 申請すれば必ず採択されますか?
A. されません。予算枠があり、要件不備・計画の具体性不足などで不採択になるケースがあります(よくある不採択理由は別記事で解説予定です)。
まとめ: まず「自県の公募状況」と「入れたい機器」の2つを固める
- 2026年度の介護テクノロジー導入支援事業は過去最大級の規模
- 補助率は最大4/5、介護記録ソフトは上限250万円
- 交付決定前の購入はNG。都道府県ごとの締切に注意
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